【ポジショニング】STPにおける役割と意味|競合に勝つための差別化

今回は、STPプロセスの最後のステップである”ポジショニング”について記事をまとめます。

ポジショニングは、これから展開しようとしている事業において「どの様な戦略で市場を獲得しようとするのか」という問いに対し、その基本的な方向性を決めるプロセスです。

適切なポジショニングスキルを身に付ければ事業を正しい方向に導く事ができる様になる筈です。

【この記事の要約】

STPにおけるポジショニングの役割、セグメンテーション、ターゲティングとの関係は?

  • STPとは、”セグメンテーション(Segmentation)”、”ターゲティング(Targeting)”、”ポジショニング(Positioning)”の英語の頭文字
  • セグメンテーションによって市場を細分化し顧客を分類し、ターゲティングによって分類した顧客の中からターゲットを絞り込む。決めた”顧客”のニーズに合わせてポジショニングを実施する。

マーケティングにおいてポジショニングをする意味とは?

  • ”顧客の価値”と”独自の強み”を結び付けて競合との差別化をはかり、市場での優位性を築く。

ポジショニングマップでポジションを決める方法

  • 顧客に提供する2つの価値を軸にして競合のポジションをマッピングし、いずれの競合もカバーしていない領域を見出す

ポジションを決める際の留意点

  • ポジショニングマップの軸は顧客の「KBF(購入決定要因)」に従う
  • ポジショニングマップ上のプレーヤーの距離を意識する
  • 創造的な発想を忘れない(ポジショニングマップに頼りすぎない)
目次

STPにおけるポジショニングの役割、セグメンテーション、ターゲティングとの関係は?

STPとは、”セグメンテーション(Segmentation)”、”ターゲティング(Targeting)”、”ポジショニング(Positioning)”の英語の頭文字をとった略語ですが、マーケティング用語としてしばしば登場します。

ポジショニングはこの3つのプロセスのうちの最後のプロセスで、セグメンテーション、ターゲティングを経て狙いを定めた顧客に対して、どの様な価値を提供するかを決めるプロセスになります。

さらに言えば、ポジショニングによって決めた提供価値に応じて、その後の事業戦略を立案する必要があるため、事業戦略の基本的な方向性を決定づけるプロセスとも言えます。

もし、ポジショニングのプロセスを怠ると、狙いを定めた顧客に対して本当に必要な価値を提供できない可能性が高く、折角実施してきたセグメンテーションとターゲティングが無駄になるばかりでなく、その後の事業戦略も誤った方向に導いてしまいます。

実施の際は熟考を重ね慎重に決定をくだしましょう。

マーケティングにおいてポジショニングをする意味とは?

前述の様にターゲティングによって定めた顧客に対してどの様な価値を提供するのかを決めるのがポジショニングの役割ですが、単に提供価値を決めれば良いという訳ではありません。

もし提供しようとする価値が競合にも簡単に提供できるものであったとしたら、市場において自らの優位性を築くことは難しく、激しい競争に巻き込まれてしまいます。

よって、提供する価値は競合にはない独自の価値である必要があります。
つまり、ポジショニングにおいてどの様な価値を提供するかを検討する際には、2つの要素を考慮する必要があります。

  • 顧客ニーズがある
    (明確なニーズだけでなく顧客自身も気付いていない潜在的なニーズも含む)
  • 競合には提供が難しい独自の提供価値である

ポジショニングとは、顧客にどの様な価値を提供するのかを決めるプロセスですが、そこには、”顧客にとっての価値”と”独自の強み”を結び付けて競合との差別化をはかり優位性を築く、という意味があるのです。

ポジショニングマップでポジションを決める方法

ポジショニングにおいて自社のポジションを検討する際には、”ポジショニングマップ”と呼ばれるマッピング手法が多く使用されます。具体的には下図の様に2つの軸を用いて競合と自社のポジションをマッピングし可視化する手法です。


ポジショニングマップ事例:
【ラーメン店に関する ”味わい”と”プレミアム感(価格)”の2軸によるマッピング】

ラーメン店に関する ”味わい”と”プレミアム感(価格)”の2軸によるマッピング

このマッピングでは、事前の調査によって、顧客がラーメン店を選択する際に”味わい”と”プレミアム感(価格)”という2つの要素を判断基準にする事が分かっていると仮定しています。

そして、この2つの観点を軸にしてマップを作製し、自店と競合4店のポジションをそれぞれマッピングしました。

マッピングの結果、マップ右上の「濃厚な味」で「高級志向」の価値を提供している競合店はないため、自店が濃厚な味のラーメンを提供し、さらに高級感を演出できれば、競合と差別化でき優位性を確立する事ができる事が分かります。

ポジションを決める際の留意点

この様にポジショニングマップを使用する事で業界内の競合と自社のポジションを分かりやすく可視化する事ができますが、いくつか留意点があります。

留意点1:ポジショニングマップの軸は顧客の「KBF(購入決定要因)」に従う

2つの軸には、顧客が「購入」を決める際に優先的に判断基準にする要素(KBF:Key Buying Factor)を選定しなければなりません。顧客が購入の判断をする際にあまり気にしない様な要素を軸にしてマッピングをしても、明確な差別化と強力な優位性を実現する事はできません。

ラーメン店の場合、駐車場の広さを最優先にしてラーメン店を決めるケースは稀だと思います。

それにも関わらず、駐車場の広さを軸にしてマッピングをしてしまったら、そのマップから得られた結論がどの様なものであっても有意義な結果をもたらしてはくれないでしょう。

留意点2:ポジショニングマップ上のプレーヤーの距離を意識する

ポジショニングマップを作製する場合、2つの軸は必ずしも数値で表す事ができるとは限りません。

しかし、マップ上にそれぞれのプレーヤー(この場合は自社と競合)のポジションをマッピングする際には、それぞれの距離感が現実のものと一致する様に意識的にマッピングするべきです。

例えば、軸として選択した2つの要素のうちの1つの要素に関して、A社とB社の差が「1」でB社と自社の差が「2」である場合は、自社とB社の距離がA社とB社の距離の2倍になる様にマッピングします。

こうしておくと、自社が競合と比べてどれくらい差別化できているのか(或いはできていないのか)がマップを見れば一目瞭然になります。

留意点3:創造的な発想を忘れない(ポジショニングマップに頼りすぎない)

ポジショニングマップは自社のポジションを検討する際に大変有効な手法ですが、1つだけ落とし穴があります。

それは、ポジショニングを検討する際に機械的にポジショニングマップを作製してしまうと、「既に顕在化して明確になっているKBFしか考慮しない」という思考パターンに陥りがちだという事です。

しかも「無意識のうちに」です。

つまりポジショニングマップを作製するとき、多くの人は既存の製品や業界の常識にとらわれ限られた範囲の中でしか発想する事ができません。

それでも競合との差別化はできますが、より大幅な差別化による強力な優位性を確立するためには、顧客ですらも気付いていない様な潜在的で革新的なニーズ(価値)を提供する必要があるのです。

1979年に発売されたソニーの初代ウォークマンは、カセットテープに録音しその音をいつでも聞くことができる「テープレコーダー」の技術をベースに開発されていました。

従来にはない「小型のテープレコーダー」という画期的な商品ではあったものの「録音できない」という弱点があり、テープレコーダーの常識で考えれば売れる筈がないと思われていた商品でした。

しかし実際には「歩きながら音楽が聴けるテープレコーダー」という、当時は誰も気付いていなかった”革新的な価値”を消費者に提供した事により爆発的なヒット商品となりました。

こうした事例は容易に実現できるものではありませんが、まさに創造的な発想によってもたらされたポジショニングの成功事例だと思います。

まとめ

今回はSTPの最終段階であるポジショニングについて記事をまとめました。

その後の事業戦略作成の方向性を決め、ひいては事業の成否を左右するとても重要なプロセスです。

ポジショニングを実施する際にはこの記事でお伝えした内容、特に”創造的な発想”を意識して取り組んでください。

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